なんばから出ている南海本線は、堺など南大阪の町を経由して和歌山方面へと向かう。
急行が停まる駅のひとつ・羽衣からは、短い支線が伸びている。
高師浜(たかしのはま)線だ。
高師浜線は、大阪府高石市の羽衣と高師浜を結ぶ路線だ。
海水浴場へのアクセスを目的に、1919年に開通した。
全3駅で、所要時間は3分。
2024年4月、高架化が完了した。
私は2022年に初めて南海に乗った際、「なお、高師浜線は、バスをご利用下さい」というアナウンスを耳にし、高師浜線の存在を知った。
車両は、全面的に塗装され方向幕が回るタイプだ。
塗装はグレー寄りの白を基調に、青色とオレンジ色のラインが塗られている。
方向幕には、「羽衣ー高師浜」と、古めかしいフォントで書かれている。
2両編成となっている。
羽衣のホームからは、白い煙を吐く煙突や、空に向けて炎を放つ煙突が見える。
手前には浜寺公園の木々が並び、より駅の近くは宅地となっている。
工場、自然、生活感が混ざった、珍しい光景だ。
高師浜行きが発車すると、複線の本線と単線の高師浜線が見える。
スピード感ある本線の車両とは違い、高師浜線の車両はゆっくり走っていく。
右にカーブして宅地を走り、あっという間に隣の伽羅橋に到着する。
伽羅橋を出ると、今度は左にカーブして進んでいく。
線路の近くには住宅がひしめき、遠くにはガントリークレーンが立っている。
レールがまっすぐになってすぐに、終点の高師浜のホームが見えてくる。
「この列車は、ここまでです」という、関東では聞かない車内アナウンスが流れる。
高師浜の駅舎は、赤い三角の小さな屋根と、3枚に分かれたステンドグラスが特徴的だ。
駅前には、静かな宅地が広がる。
しかし、「高石だんじり祭」のポスターと、びっしり並んだ提灯が、祭りの町を物語っている。
熱気溢れる様子を見てみたいと思いつつ、駅に戻った。
南海高師浜線は、生活感のある宅地と、工場や祭りといった非日常が、混ざった景色の路線だ。
2024年9月乗車