横浜と東京の間にある大きな町といえば、川崎だ。
京急川崎駅は、京急本線の他、京急大師線が通っている。
本線のホームは高架化され、2面4線と大規模だ。一方で、大師線のホームは地上にあり、小ぢんまりしている。
京急大師線は、京急川崎〜小島新田を結ぶ路線だ。京急線の前身・大師電気鉄道がルーツとなっている。
川崎大師への参拝客の輸送が、目的だった。
全7駅で、所要時間は約10分。
使われている車両は、主に1500形だ。
中央の貫通扉と、紅色のボディに白いラインが引かれたデザインが目印だ。
本線の最高時速は120キロだが、大師線は最高でも、その半分ほどしかスピードを出さない。
速さがウリの京急の中では、異端の存在といえる。
京急川崎を発車すると、市街地を抜け高架を潜る。
右手に工場が並ぶ地帯に入る。
味の素やメルシャンなど、パイプを張り巡らせた建物が過ぎていく。
列車は工業の町を、ゆっくりと過ぎていく。
港町は、大きなアーチ状の屋根が、ホームを覆う。
鈴木町は、小さな相対式ホームだ。
工場が建ち並ぶ光景が切れて、住宅の多い景色に変わる。
大きなカーブを描く、川崎大師の駅が近づく。
この駅は、厄除けで有名な川崎大師(平間寺)の最寄り駅だ。また、日本有数の奇祭・かなまら祭りで有名な金山神社も近い。
住宅に混ざって、運動公園なども見られる。
すぐに東門前に到着する。
列車は東門前を出ると、地下へと潜っていく。大師橋は、地下にホームがある。
この駅はかつて、産業道路という名前で、地上にあった。
しかし、付近の大きな踏切が渋滞を引き起こしたため、踏切の撤去と共に地下化することとなった。
大師橋を発車すると、再び地上に出る。
終点・小島新田に到着する。
駅前には、小さなセブンイレブンが建つ。
商店と住宅が入り交じった、閑静な町が広がる。
しかし、時折「キイイイ~ン」と、飛行機が轟音を発しながら真上を飛んでいく。
駅付近の跨線橋に登る。
何本も延びる線路と、無数の工場が見える。
この線路は、工場街を抜けて浜川崎方面へと延びる、貨物列車用の線路だ。
工業の町であるのが、よく分かる。
京急大師線は、工場や貨物のある町をゆったり楽しめる路線だ。
2023年5月乗車