愛知には、変わり種の鉄道がいくつかある。
そのひとつが、「城北線」だ。
名古屋から、JR東海道線で1駅・枇杷島。
大ターミナル駅とはうって変わって、静かな駅だ。
城北線は、1991年に開業した路線だ。
全部で6駅あり、所要時間は約20分。
元々は、貨物の路線だった。
ほとんどが高架なのに、全線非電化(電車ではない)となっている。
ホームは、東海道線ホームの隣にある。
本数は一時間に1、2本程度だ。
少し待つと、「ブロロ〜」と音を立てながら、1両しかない車両がやってきた。
車両は、1種類。
前面は、真ん中に貫通扉があり、白地にオレンジの帯が付く。
ヘッドマークは、金のしゃちほこをデジタルに表現した絵がモチーフだ。
側面は、窓の周囲が主にオレンジ色になっている。
ドアは2つある。
発車すると、エンジン音が大きくうなり声を上げる。
速度はあまり出ない。
架線がないので、眺めがいい。
ゆっくり走る城北線の横を、東海道線の快速が通過すると、車両が揺れる。
枇杷島を出てすぐに、高架へと登っていく。
キリンビール工場のビール型タンクが正面に見え、迫力を感じる。
カーブしてすぐに、尾張星の宮だ。
ロマンチックな名前の駅を発車すると、さらなるカーブを走っていく。
カーブの先には、高速道路が見える。
列車はそれなりに高い位置を走っているが、高速道路の車はもっと高所を走る。
ようやく線路は真っ直ぐになり、右手に町並みを見ることができる。
住宅や店が多く並ぶ、日本有数の大都市らしい光景だ。
小田井が近づくと、正面には山脈が見える。岐阜県との県境にある山々だ。
人工的な高速道路と、自然の山という、対照的なものが混ざる風景だ。
途中駅では、数人が乗り、数人が降りた。
列車は進むほどに、高速道路へ近づいていく。
比良辺りでは、高速道路とぴったりくっついて走る。
東西に伸びる、名古屋亀山線だ。
しばらくすると、南北を貫く小牧線楠ジャンクションの高架が見えてくる。
高架を潜る直前、右手にホテル街が見える。
鉄道に乗りながら、高速道路沿いの雰囲気を楽しめる。
高速道路を左手に見ながら、味美に着く。
駅名と違い、駅の周囲にグルメな店はあまりなさそうだ。
味美を出ると、高速道路と交差して離れていく。
代わりに右手から近づいて来たのが、JR中央線の高架だ。
長い両数の電車が、猛スピードを出して高架を走っていく。小さな気動車の車両で遅いこちらとは、対照的だ。
終点の勝川に着いた。
枇杷島で買ったきっぷを、運転手に渡して降りる。
「JR中央線のりば」の看板があるが、そこまでは遠い。
というか、中央線の勝川駅の駅舎が見えない。
帰りは折り返しの城北線に乗ることにした。
城北線は、小さなディーゼルカーで、大都会を見下ろせる路線だ。
2022年7月乗車