懐かしの車両に思わず涙…… いすみポッポの丘

房総半島の真ん中にある、鉄道博物館

千葉のローカル線・いすみ鉄道の大多喜からは、鉄道の博物館に行くことができる。

いすみポッポの丘という、屋外型の施設だ。

大多喜からは、タクシーで約10分かかる。

入園料は5百円。

田園を見下ろす高台に、引退した車両が並ぶ。

低い丘と高い丘の2ヶ所に、車両が置かれている。

国鉄車両も私鉄や三セクの車両もあり、引退時期が昭和のものもあれば平成のものもある。

注目すべき車両がたくさんあるので、いくつか絞って説明する。

見どころその1:重厚な走りを見せる電気機関車(国鉄ヨ5000形緩急車)

低い丘にある。

昭和の頃に活躍した国鉄の電気機関車だ。貨物車両を3両牽引している。

時間によっては、走る姿を見ることができる。貨物車両に入って、走りを体感することもできる。カーブした短いレールを、重厚な音を立てて走る。

(右奥:電気機関車)

昭和の電気機関車の走行を、半世紀以上経った今、体感できる。

見どころその2:アナウンスも流れるブルートレイン(国鉄オロネ24 2、国鉄オハネフ24 2)

高い丘にある。

昭和から平成にかけて活躍した、寝台特急2両が、展示されている。

(オロネ)

オロネは車内の両サイドに折り畳み式の寝台を設置した車両で、オハネフは車内の片側に寝台を設置した車両だ。

(オハネフ)

寝台には入ることができ、寝心地を体感できる。

車内では、ラストラン時のアナウンスが流れている。

最後の運行ならではの車掌からの挨拶や、停車駅と到着時刻の放送が聞ける。

見どころその3:食事と景色が楽しめるいすみ鉄道の車両(いすみ204)

低い丘にある。

いすみ鉄道が三セク化された80年代後半に導入された車両だ。

菜の花をイメージした黄色が目印だ。

(大原にて)

外観は、現役で走っている車両とほぼ同じだ。

しかし中に入ってみると、古めかしさが漂っている。

この車両の隣りにある『カフェTKG』で購入した定食やアイスを、車内で食べることができる。

美味しい卵かけご飯を、のんびりとした田園風景を見つつ賞味できた。

見どころその4:首都圏でかつてよく見られた車両(113系1000番台)

高い丘にある。

113系は、横須賀線や総武快速線、外房線などで走っていた車両だ。

スカ色という、ネイビー色とクリーム色の2色に塗装されている。

個人的には、ポッポの丘の全車両の中で一番懐かしい。

子供の頃に横須賀線のこの車両を目にした時に、キラキラ輝いて見えた。

もし113系スカ色に出会わなかったら、鉄道好きにはなっていなかっただろう。

隅から隅まで眺めて目に焼き付けようとしたが、無理だった。

懐かしさで涙がこみ上げてきたからだ。

他にも貴重な車両がたくさん

受付兼売店の車両は、千葉都市モノレールの1000形だ。

開業した80年代後半に導入され、今も現役で活躍している。本来は懸垂式で浮いて走るため、車両の床が地面に着いている姿は珍しい。

中に入れる車両は他にもある。

例えば、丸ノ内線400形。

営団地下鉄時代に活躍した、真っ赤な塗装に白いラインの車両だ。最近走っているリバイバル塗装車両の、元デザインといえる。

中は、子ども向けのプレイコーナーとなっている。

展示されている車両は、保存会によって管理されている。

塗装が劣化した場合などは、修理が行われる。

例えば国鉄103系は、以前は中央線カラー(オレンジ色)だったらしい。

今回訪れた際は、京浜東北線カラー(水色)になっていた。

いずれも、今では見られない華やかな全面塗装だ。

まとめ

懐かしい車両が、のどかな丘陵地帯に並ぶいすみポッポの丘。

やや駅から遠いが、鉄道好きなら必見の屋外型博物館だ。

2024年5月探訪