高さ300mを越える大阪のビル・あべのハルカス。
ハルカスのすぐ近くには、路面電車の乗り場がある。阪堺電車の、天王寺駅前という駅だ。
阪堺電車(阪堺電気軌道)は、大阪市の南部と堺市を結ぶ、路面電車だ。
地元民からは「チン電」の愛称で親しまれている。
えびす町から浜寺駅前を結ぶ阪堺線と、天王寺駅前から住吉を結ぶ上町線がある。
今回は、天王寺駅前〜浜寺駅前〜あびこ道〜えびす町のルートで乗った。
車両は多くが1両となっている。
たまに2両編成も運行されている。
色は様々だ。
今回は、上半分が青色、下半分が黄色で、広告が掲載された車両に乗った。
また、青色を基調とした、床が低い(バリアフリー設計)車両にも乗った。
発車時に時折、「チン!」とベルが鳴る。
混雑していたので、後面の車窓を撮影した。
併用軌道(線路と道路が並行している軌道)だ。天王寺駅に通じる大通りを走っていく。
大きな商業施設もあれば、アーケード通りもある。路面電車の線路の左右を、自動車が走っていく。
賑やかな光景を、ゴトゴト揺られつつ眺めた。
ハルカスのてっぺんが見える位置に来ると、町は郊外の雰囲気に変わる。
ずっと直進していたが、90度近いカーブを描き、専用軌道(線路しかない軌道)に入る。
家に囲まれた細い敷地を走っていく。
北畠からは、再び併用軌道になる。
主に住宅、時折商店が混ざる通りを走る。
反対方向の電車と、何台もすれ違う。バリアフリー設計で、床が地面に近い車両もある。
いくつかの停留所を経て、専用軌道に変わる。
電車は坂を上り、急カーブを進む。
高くなった線路の下を、オレンジとブルーの電車が走り抜ける。南海高野線だ。
神ノ木という停留所は、南海高野線の線路のほぼ真上にある。路面電車の停留所としては、珍しい光景だ。
その後、線路は下り勾配となり、地上と同じ高さに戻る。
住吉を過ぎると、大通りに合流し、併用軌道になる。大通りには、もう一本の線路が敷かれているのが分かる。線路は、えびす町方面に通じている。
この停留所は、住吉大社という大きな神社の最寄り駅だ。灯籠がたくさん並び、松の木が茂っている。
ターミナル駅でもあり観光地の駅でもあるので、乗降する人が多い。
電車は専用軌道に入り、宅地を走っていく。
車庫があるあびこ道を発車すると、線路は上り坂となる。
大和川という、大きな川を渡っていく。ここから堺市に入る。川と同じ名前の停留所に停車する。
綾ノ町から併用軌道になり、天王寺以来の大通りに入る。
左右の車道はそれぞれ3車線あり、広いのが分かる。
椰子の木が植えられた道や、ビルに混ざって建つ古めかしい建造物が、車窓に映る。
大きな包丁が窓に貼り付いた蔵は、「堺伝匠館」だ。
停留所のすぐ横に建つ、屋根が重なったお寺は善宗寺だ。
昔ながらの風情を感じる大通りだ。
大通りから専用軌道に入る。
船尾を過ぎると、線路は神ノ木と同様高架になり、オレンジとブルーの列車をオーバークロスする。
南海本線だ。
下り坂を経て、終点・浜寺駅前に着く。
味わいのある駅舎が迎えてくれた。
近くには、南海本線の旧浜寺公園駅舎がある。
じっくり眺めていたくなる景色だ。
あびこ道から、えびす町方面の電車に乗る。
前面の車窓を撮影できた。
やや狭めの道路なので、自動車が線路に入る光景も見られる。
東玉出を出ると、南海高野線の高架を潜り、専用軌道に入る。
新今宮駅前に近づくと、高いビルが増えてくる。
日雇い労働者向けの、安いホテルが目立つ。普通のオフィス街とは違う、カオスな街並みが見える。
右手に通天閣が見えてきて、えびす町に到着する。新世界が近いこともあり、下町風情が感じられる。
阪堺電車は、大阪南部と堺の、風情ある景色を楽しめる路面電車だ。
2023年9月乗車