三重県の四日市市は、工業で発展した、県内で最も人口が多い市だ。
特に近鉄四日市駅の周辺は、ビルや商店街があり、賑わっている。
この駅からは、四日市あすなろう鉄道が出ている。
四日市あすなろう鉄道は、四日市市内を走るローカル私鉄だ。
明治時代に、生糸などを輸送する目的で開業した。
日本に数えるほどしか残っていない、ナローゲージ(レール幅が762㎜)のレールが特色だ。
かつては近鉄の路線だったが、2015年から第三セクターになった。
名前の由来は、「明日に向かって」と「ナローゲージ」の組み合わせだ。
あすなろう四日市〜内部(うつべ)の内部線と、日永〜西日野の八王子線から成る。
私は、あすなろう四日市から西日野まで乗り、西日野から日永まで徒歩で戻り、日永から内部まで乗る、というルートで完乗した。
車両はナローゲージに合わせ、横幅が狭くなっている。
小さな車両のため、パンタグラフが相対的に大きく見える。
カラーは、なろうグリーンと呼ばれる下半分が緑色のものと、なろうブルーと呼ばれる下半分が青色のものの二種類がある。
サイズ感といいポップな色合いといい、おもちゃのようだ。
椅子についた手すりは、ハートの形をしている。
また、シースルー車両という透ける床板が貼られた車両がある。
他の路線にはない工夫が見られる。
あすなろう四日市を出ると、レールは単線に集約される。
特殊狭軌ゆえの、リズム感のある振動が感じられる。
ビル街を抜けて、住宅街へと入っていく。
平地だったのが、ある地点で上り坂になる。
細い河川の鹿化川を渡る。
橋の上からは、鈴鹿の山並みが見える。
西日野方面と内部方面に分岐する、日永に到着する。
内部から来た四日市方面の列車が待っている。
列車は、宅地を走っていく。
すぐに、西日野に到着する。
西日野駅は、住宅と道路に囲まれている。
自動車だけでなく、バスも走っていく。
ここから徒歩20分で、日永へ戻ることができる。
線路に沿って歩いていくと、なろうブルーの車両を見かけた。
家の間をのんびり走る光景は、見ていて心地いい。
日永駅構内に入ってしばらくすると、内部行きの列車がやって来た。
隣の南日永までの間にも、天白川という河川がある。
橋を渡る時には、家電量販店や書店の看板が見える。
生活に便利そうなエリアなのが分かる。
坂を下る特殊狭軌のレールは、何とも言えない趣がある。
列車は、宅地に混ざって田や畑も見られる地域を走っていく。
泊で、反対方面の列車が待っている。
列車交換して、進んでいく。
独特の振動を起こしながら、列車は内部へと向かっていく。
駅舎は、瓦葺きの屋根と、工場夜景のイラストが特徴的だ。
駅の周囲は、住宅街が広がる。
少し歩くと、大型スーパーがある。
暮らしやすそうな郊外だと思いつつ、四日市方面の列車に乗った。
四日市あすなろう鉄道は、小ぶりな愛らしい車両が郊外をゆっくりと走る路線だ。
2024年11月乗車