いつも観光客で賑わう、箱根温泉。
箱根登山鉄道の終点・強羅からは、さらに山の上に向かう路線が出ている。
箱根登山ケーブルカーだ。
箱根登山ケーブルカーは、箱根強羅エリアの斜面を行き来するために作られた路線だ。
1921年に開業した。
正式名は、「小田急箱根鋼索線」だ。
強羅から早雲山までの乗車時間は、約10分。
電車と異なり、車両がケーブルに引っ張られることで動いている。
運転は早雲山駅の制御室で行っているため、運転席はない。
車両は2色ある。
1編成は赤色、もう1編成は青色を、それぞれベースにしている。
どちらも、金色がアクセントになっている。
また、車両のデザインと構造は共通している。
ケーブルの仕組み上、1編成が動く時はもう1編成も動いている。
小さな車両は、強羅でたくさんの観光客を乗せた。
階段状の車両が、坂を上っていく。
行く手には、急勾配の坂が見える。
公園下(こうえんしも)に停車すると、車両が左右に揺れる。
ブレーキがなく、ケーブルに引かれているゆえに起こる現象だ。
箱根写真美術館が、駅のすぐ近くにある。
次の公園上(こうえんかみ)では、ホームから箱根美術館を見ることができる。
また、名前の由来にもなっている箱根強羅公園は、どちらの駅からもアクセスできる。
公園上を出ると、単線のレールが分岐する地点に差し掛かる。
ちょうど反対方向の車両が、下ってきている。
こちらが分岐地点に入ると同時に、あちらも分岐地点に入る。
上り車両は高い位置に、下り車両は低い位置に、入れ替わった。
ケーブルによって、息ぴったりのすれ違いを見ることができた。
列車は、中強羅、上強羅と停車していく。
その度に、車両が横に揺れる。
坂は緑の木々に囲まれている。
新緑の季節ながら、赤く色づいた葉も見ることができる。
終点の早雲山のみ、大きな駅舎となっている。
車両を動かす装置が、この駅に集約されているためだ。
到着すると、駅には人が溢れた。
駅舎の外に出ると、標高750mの山並みが見える。
山の斜面に温泉旅館などがある以外は、全て森だ。
この駅から、さらにロープウェイに乗り継ぐこともできる。
箱根登山ケーブルカーは、急な坂をぐいぐい登り、反対方向の車両とのすれ違いを楽しめる、山岳の鉄道だ。
2024年5月乗車