鉄道路線を起点から終点まで乗り通すことを、完乗という。
一部の鉄道好きは、完乗を楽しむ傾向にある。「完全にやり遂げた」感覚に至れるのが、魅力だ。日本全国の鉄道を完乗する猛者もいる。
私は2023年秋、神奈川県の鉄道路線を完乗した。一気呵成で乗り通したのではなく、31年の人生で少しずつ乗っていったイメージだ。
神奈川県で生まれ育ち、どの路線がどこにあるか認識していたことが、完乗につながったと思われる。
以下が主な路線だ。
神奈川県の鉄道の特徴としては、基本的に本数が多いことが挙げられる。
思い立った時にすぐに乗れる。
ただし例外(JR鶴見線、JR相模線、JR御殿場線)もある。それらは、時刻表をあらかじめ調べてから乗る必要がある。
また、JR中央線だけは飛び地であり、県内の駅から乗り換えて行くことはできない。東京都内の駅から乗ることになる。
ここからは、神奈川県の鉄道路線で是非乗って欲しい路線を紹介する。
神奈川県には、魅力的な海の景色がたくさんある。
東海道線の国府津付近や早川〜根府川では、太平洋を見下ろすことができる。力強い波と広大な水平線に、目が釘付けになる。
鶴見線の海芝浦支線では、工場街や高速道路に囲まれた海を見ることができる。都会の絶景に、圧倒される。
江ノ島電鉄では、鎌倉高校前付近で湘南の海岸が近づく。いつの季節も、楽しい雰囲気が漂っている。
社会科で京浜工業地帯と習った通り、神奈川県は工場街が多い。
鶴見線の鶴見小野より先は、工場の中を走る。民家や商業ビルなどはなく、異世界に来たような感覚を味わえる。
南武支線も、終点の浜川崎に近づくほど工業地帯となる。
「工場の中を走る」上記2路線に対し、「工場を見下ろす」のが金沢シーサイドラインだ。高い位置から見る工場群は、清々しさがある。
三浦半島や足柄エリアは、山が多い。
横須賀線の鎌倉以南は、緑豊かな光景が随所に見られる。東京に直通する路線なのが、信じられない。
小田原と大雄山を結ぶ伊豆箱根鉄道大雄山線は、山に囲まれた田園地帯を走る。乗るだけでも、自然を満喫できる。
速い鉄道は便利なだけでなく、ちょっとした爽快感が味わえるのもいい。
京急本線の快特は、横浜以北の最高時速が120キロだ。並走するJR各線を追い越す様を見ると、優越感が湧く。
湘南モノレールは、急勾配と急カーブを高速で駆け抜ける。懸垂式ゆえにできる技だ。
慣れ親しんだ神奈川県の鉄道を、完乗した。
達成感だけでなく、「いい鉄道がたくさんある県で育ってよかった」と、しみじみと感慨に浸っている。今後も、神奈川県の好きな鉄道路線に何度も乗りたい。
もちろん、他の県の鉄道も完乗していきたい。